2007年01月11日

ノーライフキング

『ノーライフキング』(いとうせいこう著)

を読みました。
BL漫画家石原理さんが影響を受けた本だ、と小耳に挟んだので。
その小耳に挟んだ話では、『東京ブギィウーギィ』などに影響が見られるというようなニュアンスの話だったと記憶してるんですが、読んでみた感じでは『電子少年(デジタルゴースト)』が似てるな、と思いました。
テーマが似てるだけで話やキャラクターなんかは全然違うんですけど。テーマ的には『カプセル・ヨードチンキ』なんかも近いんじゃないかと。
『東京ブギィウーギィ』は私の中では『カリスマ』に近いものがあります。電子的なつながりを描いた電子少年よりも、人と人の触れ合いみたいなものを感じます。

ノーライフキングの感想を書くつもりが、石原作品の話になってしまいましたが…。読んだきっかけだったので、どうしても。
しかもカテゴリ推理小説にしたんですが、どう考えてもSFですよね。



ノーライフキングは中盤すごく緊張感があって面白かったです。
最初は私も話の中の大人たちと一緒で理解できてなかった。途中からやっと話の主旨に気付いて、そういうことか!と思いました。
実際には主人公が言ってることそのままのことが起こっているだけなのに、理解できなかった自分は既に大人の頭だろうか…。

終盤は正直ヒタヒタと背筋が冷えるような感じでした。同じSFで『戦闘妖精雪風』を読んだときもヒタヒタしました。
機械や情報に裏の裏まで支配されてる感覚でしょうか。
実際そうだったら怖い。というか、そんなわけないじゃん!と否定しきれないような気がして怖い。
今はそうじゃなくてもこれからそういうことがあるんじゃないか、と思います。
それだけ小説がリアルなのか、リアルが変わってるのか・・・

ストーリー展開は先が読めなくて緊張感があってスピード感があるのに、読み進むと違和感というか焦燥というか、そういうものがジワ~と滲み出てくるような、そんな感覚でした。
今まで小説で味わったことのない感覚がして、なにか新しいものを見つけたような気がしました。


ただ、推理小説に慣れきった私の頭は、ラフな文体にちょこっと拒否反応が出ました。が、幸い非常にページ数が少ないのでサクッと読めました。文体も石原作品を思い起こせば、なんだかいい感じに思えてくるので現金なものです。

なんというか、ゲームをあまりしたことがない母なんかにはよくわからない話なんじゃないか、とも思います。読んだとしても私の感じたヒタヒタ感を共有できるのか、と思うと。どうも万人にオススメできるものではないと思いました。私は堪能しましたが。
古本で取り寄せた甲斐がありました。
お好きな方はどうぞ。

絶版なので古本しかないですが、1円ですって!


この記事へのトラックバックURL

http://shizhao.mediacat-blog.jp/t3018
上の画像に書かれている文字を入力して下さい