2007年04月26日

腐的感想

久々に腐った視点で、本の感想でも…

携帯のlivedoor小説で読んだ、「バロックライン」(樹月弐夜)
書籍も出てるらしいです。
それにしても、この作者の方の名前はなんて読むんでしょうね…

イギリス人で大学生のヴィクター氏が主人公です。
色んな意味で優秀なヴィクター氏は、なにやらよくわからない裏取引に関わることになります。
ウィーンでブツ(笑)を受け取ってイギリスに持って帰る、と。
しかしその取引はうまいこと進まず、物語はウィーンで繰り広げられます…

ちなみにちょっと古い時代の設定です。
20世紀初頭だそうですが、そのころの欧州文化は…う~ん、よく分かりません。
までも、とりあえず銃とかぶっ放してます。
携帯はありませんね。


ではここのあたりから本題へ…
以下ネタバレになります。  続きを読む

Posted by しょう at 02:48Comments(0)TrackBack(0)推理小説

2007年04月13日

写楽

推理小説ではないんですが、「写楽百面相」という本を読みました。
江戸の絵師写楽を巡る時代小説です。
推理小説好きの私には、写楽が誰であるかを探す主人公が探偵で、犯人当てっぽい話だなぁという印象です。
古本屋で本のあらすじをみて、
「江戸の文化と粋を描き」
というフレーズが気に入って、中を見てみたところこんなセリフから始まっていました。

「ねえ、二三さん、酔っていなさるのかえ」

ん~いいですね。これにガッツリ心を掴まれました。

「・・・・・・いいねえ。呑気らしくて」

呑気らしくて。のんきは人物のキャラクターを示す言葉なんでしょうか。いまでいう「のんきな」っていう意味とは明らかに違う使い方。


そういう細かな部分の魅力とは別に写楽に関する魅力がある本なんですね、これは。

読み終わってから分かったことなんですが、
というか写楽って聞いたことあるけどなんだっけ程度の知識なのでまったく知らなかったんですが、
写楽が江戸で活躍したのはほんの1年程度だったんですね。
その前も後も謎で、人物像さえもほぼ謎な人だったらしい。

そんな歴史上のロマンのような写楽に対する作者の想い溢れる作品だったんです。

歴史という現実でありながら分からないことっていうのは、解明したくなるのが謎好きなんですね~。
色んな研究者が研究してもはっきりしたことが分からないのに、謎解きなんてできるはずないんです。でも解けない謎ってのはそれだけでロマンですよ~~。



次の本は「檸檬」
あらすじ欄には「昭和文学史上の奇蹟」と書かれています。
さらに「特異な感覚と内面凝視で青春の不安、焦燥を浄化する作品」と書かれています。

短編集なんですけど、とにかく内面的な話のようです。
最初の檸檬しかまだ読んでないんですが、
わけ分からない描写が続く中で、なぜか感覚的には共感するんですね~。
感じることのみにひたすら重点を置いてそれを伝えようとしているように感じます。

まだまだ読み始めたばかりでここまでインパクトのある作品はなかなかないだろう、と思います。
こっからが非常に楽しみですね!




  

Posted by しょう at 02:03Comments(0)TrackBack(0)推理小説

2007年01月11日

ノーライフキング

『ノーライフキング』(いとうせいこう著)

を読みました。
BL漫画家石原理さんが影響を受けた本だ、と小耳に挟んだので。
その小耳に挟んだ話では、『東京ブギィウーギィ』などに影響が見られるというようなニュアンスの話だったと記憶してるんですが、読んでみた感じでは『電子少年(デジタルゴースト)』が似てるな、と思いました。
テーマが似てるだけで話やキャラクターなんかは全然違うんですけど。テーマ的には『カプセル・ヨードチンキ』なんかも近いんじゃないかと。
『東京ブギィウーギィ』は私の中では『カリスマ』に近いものがあります。電子的なつながりを描いた電子少年よりも、人と人の触れ合いみたいなものを感じます。

ノーライフキングの感想を書くつもりが、石原作品の話になってしまいましたが…。読んだきっかけだったので、どうしても。
しかもカテゴリ推理小説にしたんですが、どう考えてもSFですよね。



ノーライフキングは中盤すごく緊張感があって面白かったです。
最初は私も話の中の大人たちと一緒で理解できてなかった。途中からやっと話の主旨に気付いて、そういうことか!と思いました。
実際には主人公が言ってることそのままのことが起こっているだけなのに、理解できなかった自分は既に大人の頭だろうか…。

終盤は正直ヒタヒタと背筋が冷えるような感じでした。同じSFで『戦闘妖精雪風』を読んだときもヒタヒタしました。
機械や情報に裏の裏まで支配されてる感覚でしょうか。
実際そうだったら怖い。というか、そんなわけないじゃん!と否定しきれないような気がして怖い。
今はそうじゃなくてもこれからそういうことがあるんじゃないか、と思います。
それだけ小説がリアルなのか、リアルが変わってるのか・・・

ストーリー展開は先が読めなくて緊張感があってスピード感があるのに、読み進むと違和感というか焦燥というか、そういうものがジワ~と滲み出てくるような、そんな感覚でした。
今まで小説で味わったことのない感覚がして、なにか新しいものを見つけたような気がしました。


ただ、推理小説に慣れきった私の頭は、ラフな文体にちょこっと拒否反応が出ました。が、幸い非常にページ数が少ないのでサクッと読めました。文体も石原作品を思い起こせば、なんだかいい感じに思えてくるので現金なものです。

なんというか、ゲームをあまりしたことがない母なんかにはよくわからない話なんじゃないか、とも思います。読んだとしても私の感じたヒタヒタ感を共有できるのか、と思うと。どうも万人にオススメできるものではないと思いました。私は堪能しましたが。
古本で取り寄せた甲斐がありました。
お好きな方はどうぞ。

絶版なので古本しかないですが、1円ですって!  

Posted by しょう at 02:31Comments(0)TrackBack(0)推理小説